多裂筋トレーニングで高負荷に耐える身体に!ポイントは顎を引くこと


たくましく太く、厚みのある筋肉を作っていきたい!その為には高負荷でトレーニングをしていかないといけません。

しかし急に高負荷をかけると怪我をします。これでは本末転倒ですね。

高負荷に耐えられる身体にするためには、インナーマッスルを鍛えることが先決です。特に身体の支柱である脊柱を支えることは重要です。

脊柱を支えるインナーマッスルは多裂筋です。多裂筋を鍛えると高重量を持ち上げたりすることができるようになりますので、他のトレーニングもしっかり高重量を扱えるようになるのです。

多裂筋の作用と機能させるためのエクササイズを見ていきましょう。

多裂筋は脊柱を安定させる筋肉!鍛えれば高負荷なトレーニングに活かせる

多裂筋はその名の通り多数に裂けているような筋肉です。椎骨同士が離れないように、動きすぎないように安定させるためです。

基本的に関節が過剰に動くと関節にダメージを与えたり、力が入りにくくなったりします。それを抑えるために多裂筋というインナーマッスルが働く必要があります。

多裂筋が働き、脊柱が安定すると脊柱起立筋が働きやすくなり、脊柱がより強固に安定します。

身体を支える柱が強固になればなるほど、高負荷なトレーニングにも耐えられるようになるのです。

多裂筋の役割

多裂筋は脊柱(背骨)の両サイドにあり、骨盤から頸椎全体を覆っています。

▼多裂筋
多裂筋の位置
(出典:多裂筋について ~「姿勢」と「動き」の専門店 studio essence~)

脊柱が真っ直ぐに立っていられるようにしたり、曲げたり、反らしたり、捻ったりしても大丈夫なようにしています。

脊柱は椎骨という骨が24個積み重なっていて、頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個に分類できます。これらがバラバラにならないように、重力が真っ直ぐ乗るように支えるのです。

その多裂筋はどのような役割を担うのでしょうか?

  • 上半身を真っ直ぐ立たせる
  • 脊柱の安定化
  • 脊柱の過度な動きを抑制する
  • 衝撃吸収
  • 中枢神経を守る

脊柱を安定させることで、他にも重要な役割があります。それは衝撃吸収と中枢神経を守ることです。

中枢神経とは、全身に司令を送る神経系統の中心的な働きをしています。中枢神経から末梢神経に繋ぎ、手や足の端まで司令が行き渡ります。

多裂筋が働き、脊柱が安定することで、歩いたり、走ったり、跳ねたりといった高負荷な運動に耐えることが出来ます。

日常生活では、歩くことでも多裂筋は姿勢保持で働きます。しかし横ブレをする、重心が外側である、といった状態ですと、多裂筋は働いていない可能性があります。

多裂筋が働かないと脊柱を安定させることが出来ず、椎骨がズレやすくなり、椎間板の摩耗、椎間板ヘルニア、その他腰痛などになりやすくなります。

この状態では高重量を扱うのが危険です。それだけ多裂筋の働きは重要なのです。

多裂筋を鍛えるメリット

多裂筋を鍛えるとどのようなメリットがあるのでしょうか?役割を見てもお分かりの通り、脊柱(背骨)を安定させることで様々なメリットが出てきます。

  • 姿勢の安定
  • 猫背の改善
  • 見た目が堂々としているように見える
  • 高負荷トレーニングに対応できる

多裂筋は背中にある様々な筋肉と連携を取って機能しています。インナーマッスルである多裂筋で脊柱を安定させることで脊柱起立筋が働きやすくなり、しなやかでブレのない動きが可能になります。それにより、様々な姿勢に対応できます。

しかし近年、デスクワークが増え、背中が丸まってしまっている方が急増しています。背中全体の筋力は落ち、背中の厚みがなくなると運動能力が低下します。走ったり、跳ねたりする力が低下するのです。

筋力が低下すると、脊柱を安定して支持することができなくなります。ということは、スクワットなど高重量を担ぐことができなくなります。結果、高負荷トレーニングができないため、筋肥大が見込めなくなります。

多裂筋がうまく使えていないと、腰から背中にかけてある特徴が見られます。通常、脊柱のところで背中から腰まで綺麗に”谷”ができるのですが、多裂筋が弱っていると、谷になっていません。

▼多裂筋が弱ると谷が無くなる位置
多裂筋が弱ると谷が無くなる位置イメージ

多裂筋は表層にはないため見た目では筋繊維はわかりません。しかし上の図のように脊柱腰部がしっかり背中から綺麗に”谷”ができているのか、”谷”がなくなってしまっているかで判断できます。

脊柱には中枢神経が通っていますので、脊柱の歪みは全身問題に発展し兼ねません。筋骨隆々でもインナーマッスルのトレーニングをしっかり行わない方でも、脊柱起立筋が強く厚みはあります。

しかし脊柱はアウターマッスルの働きではなく、インナーマッスルの多裂筋により支持されているのです。筋骨隆々でも多裂筋が弱っていることはよくあることです。筋骨隆々でも腰痛持ちとなると、多裂筋が働いていない可能性が高いです。

ちなみに、人の体は表面から見えない深層の筋肉(インナーマッスル)と、表層にあって触れることができる筋肉(アウターマッスル)があります。

最も表層にある筋肉は僧帽筋や広背筋です。そして脊柱起立筋を最大限に機能させるためのインナーマッスルは多裂筋という筋肉です。

多裂筋で脊柱を安定させることで脊柱起立筋が働きやすくなり、より高負荷に耐えられるようになるのです。

では多裂筋はどのように鍛えればいいのでしょうか?筋肉がどこからどこへ付いているのか、多裂筋の解剖を見てみましょう。

起始と停止を意識するために知っておくべき、多裂筋の位置

トレーニングのポイントは起始と停止を意識して行います。そのためには筋肉の付いているところを理解しないといけません。ここで、筋肉の位置を確認しましょう。

▼多裂筋
多裂筋の位置
(出典:多裂筋について ~「姿勢」と「動き」の専門店 studio essence~)

多裂筋は無数の筋肉が裂けているように構成されていて、椎骨の横突起から始まり、2〜4つ上の椎骨の棘突起に斜めに走行しています。

骨盤(仙骨部)から、頚椎にまで達しています。上部、中部、下部と3段階に分けて表すと次の表になります。

多裂筋 起始 停止
上部 頸椎C4~C7の関節突起 起始より第2〜4上の椎骨の棘突起
中部 胸椎の横突起 起始より第2〜4上の椎骨の棘突起
下部 仙骨、上後腸骨棘、腰椎の乳頭突起 起始より第2〜4上の椎骨の棘突起

起始とは、筋肉の始まりの部分のことです。停止は起始から出た筋肉の終わり部分です。一般的に起始が身体の中心部分で停止が末梢の方を指します。下から上に斜めに走行しています。

2〜4つの椎骨を飛ばして、筋肉が付いています。こうすることで、力学的に小さい筋力でもしっかり脊椎を支えられるようにできています。しかしこれが片方だけ持続的に力が入っていると、脊椎側湾症など歪みの原因となります。

多裂筋上部の位置と機能

上部は頸椎を安定させます。下部に比べると細く短いです。首が安定すると頭の位置が保たれます。そうすることでアウターマッスルである僧帽筋がしっかり働きやすくなります。

脊柱は横から見るとS字カーブを描いていて、頸椎は前弯しています。近年、スマートフォンなどを使用する頻度が増えてきているため、頭を下げたりすることが多くなってきています。

本来、自然なカーブを描いているのですが、多裂筋が弱ると真っ直ぐになってしまう『ストレートネック』になりかねません。

機能としては、頸椎の伸展、回旋、側屈です。伸展は反らす動作、回旋は振り向く動作、側屈は横に倒す動作です。

多裂筋中部の位置と機能

中部は胸椎を安定させます。胸椎は肋骨があるところです。肋骨の動きは呼吸する動作と深く関連があります。中部の多裂筋が硬くなっていたり、働きが鈍くなると呼吸が乱れやすくなったり、浅い呼吸になりがちです。

浅い呼吸は脳の働きを鈍らせます。ボーッとしてしまうのです。近年、腰痛は相変わらずですが、背中の痛みを感じる方が増えてきています。

脊柱の中で胸椎だけ後弯しています(骨盤部も入れると仙骨・尾骨も後弯しています)。多裂筋や脊柱起立筋が働かないと、どんどん円背(猫背)になっていくのです。機能としては、胸椎の伸展、回旋、側屈です。

多裂筋下部の位置と機能

下部は脊柱の根っこである腰部を安定させます。図2を見ると、筋肉の太さ、長さ、面積など、上部に比べたら大きいのが分かることでしょう。

多裂筋は頸椎までありますが、下部が一番重要な働きをしています。機能としては、腰椎の伸展、側屈、回旋です。

多裂筋で注意が必要なのは、左右で偏らずに均等にトレーニングができるかどうかというところ。

多裂筋は脊柱全体に付いているため、左右差があると骨は強い方に引っ張られます。背骨はだるま落としのように積み上がっている構造ですので、簡単にずれたり、回旋したりします。

多裂筋は機能として脊椎の伸展、回旋、側屈動作に関与していますが、動作よりも動きすぎないように安定させる方がメインに働いています。アウターマッスルでパワフルな筋収縮ができるように多裂筋は脊椎をバチっと支持するのです。

初期の段階で多裂筋を整えておくと、高負荷トレーニングに耐えられるため、今後の筋トレ効果が倍増しますよ。

多裂筋を鍛える、たった1つのトレーニングのポイント

多裂筋は深部にあり、本当に働いているのか分かりにくい筋肉です。多裂筋はどうすれば機能するのでしょうか?特に図1の腰部の”谷”がなくなっている方は意識が必要です。

多裂筋は重心が外側に行ってると働きが鈍ります。あとは過剰な片足重心での立位。これは筋肉を使わずに骨で立とうとすると、骨盤が大きく歪みます。これでは多裂筋の下部は働きません。

脚が内反膝(O脚)になっている方や過剰な片足重心の方は、腰部の”谷”がなくなっているのが多く見受けられます。

このような方にはある共通点が見受けられます。それは顔が上がりやすい点です。顎を引いて背筋を伸ばすことは基本的にしません。

多裂筋を働かせる最大のポイントは顎を引くことです。顎を引くことが一番のポイントです。顎が上がっていると、多裂筋の働きが鈍り、脊柱は不安定になります。

顎を引いて、背中が丸まってしまっては意味がありません。頭のてっぺんから糸を引っ張られている感じで、背筋も一緒に伸ばしてください。

顔を上げるにしても顎を引いた状態を意識しながら、上を向くようにしましょう。ちなみに多裂筋は腹横筋や骨盤底筋群と相互作用で働きます。

バランスを取ろうとすると腹横筋も一緒に働きますので、多裂筋を働かせるにはいいでしょう。しかしどれも顎を引くことが重要です。

多裂筋を働かせるための6つのエクササイズ

ずっと力入れっぱなしはしんどいと思います。適時緩めていかないと、動きが硬くなります。動きが硬くなるとバネがなくなりますから、ケガの原因にもなりかねません。安定させるつもりが衝撃を吸収できずにケガをしてしまっては本末転倒です。

多裂筋は通常、足が全面的に接地して、偏らずにいれば自然と使われます。重いものを担いだりしても自然と多裂筋が働いて脊柱を安定させて脊柱起立筋などが働くようになっています。

近年、デスクワークが増え、運動量が減り、姿勢が悪くなってきています。多裂筋はトレーニングというより、働きやすい環境を整えることが重要になってきます。どういったことをすればいいでしょうか?

多裂筋 エクササイズ
緩める
  • キャット&ドッグ
  • ストレッチポールまたはフォームローラー
働かせる
  • ダイアゴナル
  • ダイアゴナル・バックエクステンション
  • デッドリフト
  • グッドモーニング

多裂筋は日頃のお仕事により、同じ姿勢、決まった動きであることが多いので、トレーニング前はしっかり緩めることが重要になってきます。緩めることができれば、より動きがしなやかになり、パフォーマンスアップのみならずケガの予防にも繋がります。

多裂筋を緩める時のポイント

ずっと同じ姿勢でいると多裂筋は緊張して硬くなってしまいます。まずはその緊張をほぐしてあげなければなりません。この表で緊張をほぐすエクササイズである「緩める」項目を見てみましょう。

キャット&ドッグは、四つん這いになって、背中を丸めたり、反らしたりする動作です。丸めるときは最大限に丸めます。

視線は自分のおへそを見るようにすると首も丸まります。反らす動作は、視線を天井に向けます。そうすることで最大限に腰から首まで反らすことができます。

ストレッチポールやフォームローラーはどちらでも構いません。今ではどのスポーツクラブにも置いてあるかと思います。

その上に仰向けで寝転がります。膝を立てて足裏を床に着けて安定させます。ゆらゆら左右に動いたり、上肢や下肢をゆらゆら動かしたりすることで、背中を緩めていきます。

多裂筋を働かせる時のポイント

日頃の緊張をほぐしたら、今度は働かせましょう。多裂筋はバランストレーニングをするとよく機能します。表にあるダイアゴナルとは「対角」を意味します。四つん這いやうつ伏せで寝て、対角で腕と脚を持ち上げるのです。

ダイアゴナル・バックエクステンションは、うつ伏せでスーパーマンみたいに寝て、対角で挙上します。この時に顔を床に向けたまま上半身も床から離すようにしてみてください。顎を引きます。そうすることで腰部の筋収縮が強くなります。

デッドリフトとグッドモーニングは、低重量から始めてください。どちらもダイアゴナル・バックエクステンションと同じように顎を引いて行ってください。

重量を上げるときつくなり、ついつい顔が上がってしまいます。これでは多裂筋が働きにくくなります。

顔を上げるにしても、顎を引いた状態を意識して顔を上げてください。そうしなければ脊柱の緊張が解け、力が入りにくくなりますし、ケガの原因にもなりかねません。

ここには挙げていない数々のトレーニングも顎を引いて行うことで、多裂筋の働きが変わります。例えばスクワットやベンチプレスなども顎を引いて行うことです。脊柱が安定して、より安全に高重量を持ち上げることができます。

注意が必要なのは、腰に痛みがある、手術をしたことがある、など何かしら持病を抱えている方は、医師や怪我などに詳しいトレーナーなど、専門家にみてもらってください。

多裂筋は意識しづらい筋肉。だからこそフォームとバランスが大事

ここまで、多裂筋の働きが弱っている方にある特徴は腰部の”谷”がなくなっていると説明しました。しかしこの状態は「腰椎辷り症(すべりしょう)」の可能性もあります。

腰痛、さらに下肢への痺れがある場合は腰椎辷り症などを疑って、整形外科で診察してもらいましょう。辷り症の場合、トレーニングの方法が限られます。方法などは専門家にお願いしましょう。

多裂筋を鍛えるトレーニングは、ほとんどがフリーウエイトです。微妙に角度を変えて筋繊維一本一本鍛えることができる反面、やり方を間違えると左右差が出てしまいます。

しかし多裂筋はバランスを取りながら行うことで働きますので、うまくバランスが取れない方は率先してバランストレーニングをしていきましょう。

初心者でも上級者でも言えることは、フォーム重視でトレーニングをすることです。正しいフォームで行わないと怪我の原因になります。それに筋肉の付き方が不均衡になります。それだと美しくないですね。

それを防ぐためには、トレーナーやトレーニング経験者といった方、またはビデオ撮影をして自分のフォームを客観的に見たり、鏡を見ながらフォームをチェックするなど、常にフォーム重視で行うようにしましょう。フォームはそれだけ重要なのです。

多裂筋を鍛えることで、男らしく堂々とした姿勢を保つことができます。さらに他部位のトレーニングでも高負荷トレーニングに対応できるため、より筋トレ効果が出やすくなりますよ。

多裂筋は姿勢の安定化に役立ちます。初期の段階で強化していくことで、他の部位のトレーニング効果が高まります。
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